サプライチェーンマネジメント
方針?基本的な考え方
グローバルに事業を展開する総合商社は、多岐に亙る業界のサプライチェーンを通じて、様々なステークホルダーの人権に直接?間接的に関わっています。
萬が一、サプライチェーンにおいて、何らかの人権侵害に加擔している場合、それは環境?人権リスクとしてサプライチェーン全體のサステナビリティに大きく影響します。
このため、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の1つを「人権」と定めるとともに、外部有識者を招いてステークホルダーダイアログを開催し、また社內での議論を行っています。
その結果として、2018年度に2050年に向けた長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」を掲げ、「サプライチェーンを含む人権尊重への対応」を図っていくことを公表しました。環境問題も地域住民への人権侵害に繋がることが多く、雙日は、環境問題も含めて「人権リスク」の低減を図り、ステークホルダーの人権が尊重される社會の実現と、持続可能なサプライチェーンの構築を目指していきます。
具體的には、雙日グループとして注視すべき人権課題と対応について、「雙日グループ 人権方針」に纏めるとともに、サプライチェーン上で注視すべき環境?人権課題をまとめた「雙日グループ サプライチェーンCSR行動指針」を掲げています。この「雙日グループ サプライチェーンCSR行動指針」は、國連グローバル?コンパクトの10原則等を踏まえて作成しており、取引先の皆様に本行動指針へのご理解を求め、雙日グループと共に実踐頂くことを求めています。
雙日グループ サプライチェーンCSR行動指針について
雙日グループ サプライチェーンCSR行動指針
雙日グループの事業活動は、多様な國?地域の取引先とのかかわりによって成り立っており、それぞれの業界の特性を踏まえながら、サプライチェーンにおいてもCSRの取り組みを進める必要があります。 雙日グループは、適切な事業活動と、事業に関わるステークホルダーの人権尊重、地球環境保全を行うべく、サプライヤーに対して、以下に掲げる項目の理解と実踐を求め、取引先とともに、企業活動と社會?環境の共存共栄を目指します。
- 従業員の人権を尊重し、非人道的な扱いを行わない。
- 従業員に対する強制労働?児童労働を防止し、適切な労働時間を守り、最低賃金を確保する。
- 雇用における差別を行わない。
- 労使間の円滑な協議を図るため、従業員の結社の自由、団體交渉権を尊重する。
- 従業員に対して安全、衛生的でかつ健康的な労働環境の提供に努める。
- 內外の関係法令を遵守し、公正な取引および腐敗防止を徹底する。
- 製品やサービスの品質?安全性を確保する。
- 事業活動において、自然生態系、地域環境および地球環境の保全に配慮するとともに環境汚染の予防に努める。
- 上記に関する情報の適時?適切な開示を行う。
本行動指針に関する、重大な違反が報告された場合の対応について
本行動指針に関わる重大な違反については、事実を確認の上、サプライヤー、取引先等の関連するステークホルダーに、問題の改善対応を求めます。また、必要な期間を置いても、その改善対応がなされない場合は、取引を見直す事も含めて対応いたします。
又、必要な場合は、雙日グループ及び雙日グループが指定する専門家が現地を訪問し、調査を行います。
2010年4月 制定
2017年6月 改訂
関連する方針類
ご參照2050年に向けた長期ビジョン「サステナビリティチャレンジ」
人権問題は、多岐に渡り、また、セクター毎のリスクや求められる対応が異なります。また、時代の移り変わりとともに、その內容も絶えず変化しており、終わりがありません。その為、當社は、前中計2020(2018年度~2020年度)において、先ず、人権問題が起こりやすいセクターと、そのリスク內容を分析し、それらリスクへのグループ企業の対応を確認しました(下記図:赤枠部分)。
「中期経営計畫2023(2021年度~2023年度)」においては、前中計2020(2018年度~2020年度)における取り組みを土臺として、更に対応を深化、定著させると共に、雙日グループの各種方針のグループ內外への周知、課題認識の徹底を図ります(下記図:緑枠部分)。
加えて、外部専門家からの指摘や、新たな時代の要請を踏まえて、継続的に対応のブラッシュアップを図る「PDCA」を実施していきます(下記図青枠部分)。
個別の調達方針
また、當社では、社會環境に影響の大きい個別商品に関して調達方針を策定しています。
木材調達方針
「雙日グループ サプライチェーンCSR行動指針」に基づき、責任ある木材の調達を行うために、2015年9月に「木材調達方針」を定めました。また、2021年2月に、2025年に向けた定量目標を定めています。
パーム油調達方針
「雙日グループ サプライチェーンCSR行動指針」に基づき、責任あるパーム油の調達を行うために、2020年12月に「パーム油調達方針」を定めました。
目標
グループ全社の対応
「中期経営計畫2023(2021年度~2023年度)」において、下記の目標を掲げています。
- グループ會社全社に対する當社方針の周知?課題認識の徹底
- 「高リスク分野の対応」について、ブラッシュアップのPDCAを実行
個別方針の目標
木材調達方針
2020年度目標の達成を踏まえ、2025年度に向けて新たな目標を設定しました。
2025年度目標
2025年度迄に、認証材(レベルA)、及び認証以外で環境配慮が出來ている材(レベルB)の取扱いを100%にします。
體制
雙日は、サステナビリティの視點を踏まえた経営を促進するため、CEOが委員長を務める「サステナビリティ委員會」を、専任組織としてサステナビリティ推進室を設置しています。
サステナビリティ委員會
サステナビリティ委員會では、サステナビリティに関する全社方針や目標の策定、それらを実踐するための體制の構築?整備、及びISO14001の管理體制を活用した各種施策のモニタリングを行っています。
サステナビリティ委員會メンバー(2022年4月1日現在)
*代表取締役
委員長 |
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委員 |
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オブザーバー |
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事務局 |
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サステナビリティ推進?実行體制図
新規投資案件
事業投融資の審議にあたっては、事業計畫に加え、環境(気候変動に関連したリスク)、社會(地域住民へ影響を與えるリスク、従業員の人権尊重?強制労働の防止?児童労働の防止?労働安全衛生に反する懸念の有無、等)の観點から分析?評価を行った上で、サステナビリティの観點からの當該案件の推進意義を確認した上で、投資の実行を決議しています。
原木及び木材製品のトレーサビリティ確保に向けたタスクフォース「フォレスト11」の組成
2015年に原木及び木材製品を取扱う雙日本社を中心に、雙日グループ會社3社の計4社(2021年9月に1社を売卻により、現在は計3社)にて、タスクフォース「フォレスト11」を組成し、雙日グループとして適正なトレーサビリティの確保に向けた目標を定め、活動を行っています。
取り組み
サプライチェーンを含む人権尊重に関する方針通知、及びリスク評価
サプライチェーンを含む人権尊重への対応に関し、雙日グループは、國連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて対応を進めています。
方針の通知、及び対話
「中期経営計畫2023(2021年度~2023年度)」においては、これらの方針、及び課題認識を雙日グループ內で徹底すべく、全てのグループ事業會社(特定目的會社を除く連結子會社183社)に対して、以下の施策を実行しました。グループ事業會社に対し、直接対話方式にて、當社サプライチェーンを含む人権尊重に関する方針、人権課題への課題認識を資料を用いて説明、共有することで、これまで以上に取引先を含めたサプライチェーン上のリスクマネジメントの向上が図られています。
- 方針認知、及び課題認識の徹底につき、「確認書」を回収(183社中179社:回収率98%)
- 全グループ事業會社との直接対話
高リスク地域関連會社9社 2021年6月迄に対話済み
高リスク事業分野関連19社 2021年8月迄に対話済み
高リスク事業分野以外129社 2022年3月迄に対話済み
高リスク事業分野以外7社 2022年度中の実施を予定
また、高リスク分野における取引先に対し、上記、雙日グループの対応方針を周知しています。
リスク評価
リスクの高い事業分野では、リスク所在國において課題が発生しやすい構造の分析や、固有リスクに特化した調査?評価の実施など、リスクマネジメントの深化を進めています。
サプライチェーン上の人権課題は様々であり、特に人権対応が強く求められるセクター(事業分野)を分析した上で、優先順位を付けて取り組んでいくことが重要と考えています。
その為、前中計の中計2020(2018年度~2020年度)を「サステナビリティ チャレンジ」の準備期間と位置付け、先ず、優先度の高い「高リスク事業分野」の特定?確認を行い、雙日グループ、及び仕入先を含むサプライチェーン全體の対応狀況に対する調査?評価を行いました。
中計2023では、『リスク評価』のPDCAを深化するとともに、その土臺の上に『方針』の周知?課題認識の徹底を行っています。
リスク評価のPDCAの仕組みについて
雙日グループの対応が十分であるか、外務コンサルタントの監修も受けながら、新たな課題の視點で自社の取組みを點検しています。
【點検方法】- 毎年、新たな課題について確認。それらに対する取引先を含めた網羅的なアンケートを実施。
- 高リスク事業分野に該當する営業部署、グループ會社に対し、上記の新たな課題を含め、高リスク事業への認識や対応狀況について、対話?ヒアリングを実施。
- 大きな問題が発見された場合は人権DDを行う。
リスク評価手法
NGOのデータベースから抽出された、「環境?人権の高リスク分野」について、リスク特性に応じた雙日グループ、及びサプライチェーン上の対応狀況を調査?確認しました。
外部分析:一般的に環境?人権リスクが高い事業分野
英NGO「ビジネスと人権リソースセンター」が保有するデータベースより、2000年以降に世界各國で発生した環境?人権リスクの発生事例をもとに、一般的にどういった事業分野のリスクが高いかを分析しています。
分析を踏まえ、グループ會社、取引先のそれぞれについて以下の優先順位をつけ、対応しています。
[グループ會社(連結子會社?持分會社)]
國を問わず全ての事業會社をリスク評価の対象としています。優先順位としては、リスクの高い事業分野に當てはまる事業から評価を行います。
[取引先]
取引金額や収益規模が小さくとも、そのサプライチェーン上流の開発?生産過程において環境?人権への負の影響が想定されるため、雙日グループが間接的に加擔しないよう取り組む必要があります。
従い、取引金額や収益の多寡を問わず、リスクの高い事業分野に當てはまる取引先からリスク評価を優先します。
內部分析:雙日グループの事業からリスクの高い事業分野を特定
雙日グループの事業の中からリスクが高い事業分野を特定し、川上から川下までの一連のサプライチェーンにおいて、一般的に環境?社會課題が発生し易いのはどの位置で、當グループの事業はサプライチェーンのどの位置を擔っているのかを分析?確認しています。 雙日グループが直接かかわっている場合はもちろん、その川上で環境?社會課題が発生し易い場合でも、調達を通じ間接的に川上での課題悪化を助長する可能性があり、これらがリスクとしてグループの事業のサステナビリティに大きく影響することが想定されます。中期経営計畫2020においては、これら事業分野固有のリスク調査やマネジメントの體系化に注力しました。分析対象は先ず全連結子會社の約300社とし、うち36社がリスクの高い事業分野に該當しました。これに加えて、リスクの高い事業分野に該當する持分法適用會社23社を含めた計59社について、環境?社會の各課題への対応狀況を確認しました。
事業領域別 環境?社會課題の位置
改善
上記、「方針」における「周知?課題認識の徹底」や、「リスク評価」における「高リスク分野への対応確認」における、グループ會社や取引先との対話?コミュニケーションにおいての「気付き」や、外部専門家による「第三者意見」を踏まえて、継続的に「改善」を実施しています。
取り組み事例
Kyodo Sojitz Feed Co., Ltdの訪問実査
當社1次サプライヤーへのアンケート実施
人権侵害が懸念された地域に所在するサプライチェーン上のサプライヤーとの取引に関して、2021年10月に當社1次サプライヤー136社にアンケートによる確認を行い、サプライチェーン上で人権侵害が懸念されるサプライヤーとの取引がないことを確認しております。
各部?室における活動計畫の策定
サステナビリティ委員會で了承され、経営會議や取締役會に報告された各種施策や決定事項については、社內イントラで全社に周知する外、サステナビリティ委員會事務局より社內各部署との定期報告會を通じ共有されています。
そして、その決定事項に基づき、期初に、各部?室において
- 國內外の事業活動に伴う環境影響、及びそれに関わる法規の分析、
- 気候変動を含む『環境』の改善に向けた目標設定、及び目標を達成する為の実効計畫を策定し、半期毎に各部?室にてレビューを実施の上、その総括を翌年度期初のサステナビリティ委員會にて評価し、経営會議に報告しています。
方針の共有
雙日グループ各社?サプライヤーとともに環境?社會(人権)リスクの低減に取り組んでいくためには、「ビジネスと人権に関する國連指導原則」などの國際規範の要請事項や雙日グループの方針の共有のみならず、実際のリスク発生事例を引用し、ビジネス上のリスクにつながることを共有していくことが重要と考えています。
活動実績
- 人権リスクセミナー
策定?改定したグループ人権方針共有のため、2017年10月に人権デュー?デリジェンスをテーマとする人権リスクセミナーを開催し、雙日本社の本部長?部長、グループ會社14社社長の計78名が參加しました。
セミナーにおいては國連「ビジネスと人権に関わる指導原則」の誕生以降、人権デュー?デリジェンスの実踐がビジネスにおける新たな競爭軸となりつつある等の國際動向や、世界的なESG投資の拡大に伴い、人権デュー?デリジェンスの実施が企業のサステナビリティを測る指標としてステークホルダーから注目されていることなどを共有し、今後の取り組み深化に向け課題認識の醸成を図りました。 - e-learning
グループ內でのサステナビリティに関わる理解醸成を目的として、サステナビリティに関わる社會動向の変化や企業に求められる環境?人権課題への対応をテーマに定期的にe-learningを実施しています。毎回、國內外の雙日グループ役職員(※)約5,000人が受講しています。
※雙日㈱役職員、主要グループ會社9社の従業員、海外拠點の従業員 - 雙日グループ サステナブル サプライチェーンハンドブック
サプライヤーに対し、雙日グループのサステナビリティに関わる方針や目標、実際にビジネス上で発生したリスク発生事例?改善事例を共有し、溫室効果ガスの削減や生物多様性の保全といった環境負荷低減の取り組みや、労働環境の改善といった人権デュー?デリジェンス推進への理解と実踐を求めていくため、「雙日グループ サステナブル サプライチェーン ハンドブック」を発行?配布しています。
また、このハンドブックでは、サプライヤーが雙日に対し、環境?人権に関する負のインパクトを低減する取り組みを回答することや、実地訪問への対応により負のインパクトを削減することなどを求めております。
パフォーマンス
方針の通知、及び対話
中計2023(2021年度~2023年度)においては、これらの方針、及び課題認識を雙日グループ內で徹底すべく、全てのグループ事業會社(特定目的會社を除く連結子會社183社)に対して、以下の施策を実行しています。
- 方針認知、及び課題認識の徹底につき、「確認書」を回収(183社中179社:回収率98%)
- 全グループ事業會社との直接対話
高リスク地域関連會社9社 2021年6月迄に対話済み
高リスク事業分野関連19社 2021年8月迄に対話済み
高リスク事業分野以外129社 2022年3月迄に対話済み
高リスク事業分野以外7社 2022年度中の実施を予定
(2021年度に実施した対話?ヒアリング、および取引先へのアンケートでは、大きな問題は検出されませんでした。)
新たな課題の確認
毎年、新たな課題について確認。それらに対する取引先を含めた網羅的なアンケートを実施。2021年度は、a.特定地域における人権尊重、b.外國人技能実習生、c.顧客情報漏洩を設定し、調査?確認を行いました。